2016-01-01から1年間の記事一覧

#自分の人生においてトップ10に入る小説をあげてけ

#自分の人生においてトップ10に入る小説をあげてけ桐野夏生「柔らかな頬」保坂和志「カンバセイション・ピース」ゴールディング「蠅の王」谷崎潤一郎「春琴抄」ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」ガルシア・マルケス「百年の孤独」高橋源一郎「さような…

島田雅彦『彗星の住人』論(3)

1-3 二人称小説とは何か 島田雅彦がこの小説を書くにあたり、どういったことを意図していたのかを知るためには、福田和也との対談*1が参考になる。 福田 これは批評家として聞かないわけにはいかないんだけれども、二人称にしたのはなぜ?島田 歴史の語り口…

島田雅彦『彗星の住人』論(2)

1-2 三人称の語り 小説の「2‐1」からは、アンジュが「君」にカヲルの過去を物語るという場面がはじまるが、記述上は三人称多元で語られる。しかし、これは椿文緒を「君」と呼んでいた同じ語り手であると考えられる。この語り手は、アンジュや彼女に物語を…

島田雅彦『彗星の住人』論(1)

某大学に提出した卒業論文をいくつかのエントリーに分けて転載する。読書の助けになれば幸いである。 はじめに 『彗星の住人』は二〇〇〇年に「純文学書下ろし特別作品」として新潮社より刊行された。二〇〇七年の文庫化に際し、加筆修正が行われている。本…